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「シーバスは朝と夕方がいい」「いや、夜のほうが釣れる」。釣り場でも、ネットでも、時間帯の話はよく聞きます。では、仕事や家の都合で1時間しか竿を出せない日は、いつ行けばいいのでしょうか。
答えを先に言うと、まず狙うのは「マズメ(夜明け前後・日暮れ前後の薄明るい時間)」、次が「夜」です。ただし、これは「その時間に行けば釣れる」という意味ではありません。光の量が変わる時間に、餌になる小魚の動きが変わる。その変化にシーバスが合わせて動く。この仕組みを知っておくと、日中しか行けない日にも打つ手が見えてきます。
この記事では、国立天文台の「薄明」の定義、海上保安庁の事故統計、県の資源評価などをもとに、マズメ・夜・日中それぞれで「なぜ釣れるのか」「どう狙うのか」を図解で整理します。シーバスという魚の基本はシーバスとは?生態・呼び名・魅力の完全ガイドにまとめています。
結論|時間帯の優先順位は「マズメ>夜>日中」
最初に全体像です。1日を5つの時間帯に分けると、狙い方は次のように整理できます。
| 時間帯 | 目安 | 起きていること | 狙い方の軸 |
|---|---|---|---|
| 朝マズメ | 日の出の約1時間前〜日の出後30分ほど | 暗から明へ。夜に浮いていた小魚やプランクトンが沈み始める | 表層〜中層。短時間勝負 |
| 日中(デイ) | 日の出後〜夕方 | 明るく、小魚は群れを固めて警戒する | 影・濁り・流れのある場所に絞る |
| 夕マズメ | 日の入り前30分ほど〜日の入りの約1時間後 | 明から暗へ。小魚が浮き始め、群れがゆるむ | 表層〜中層。暗くなるほど岸寄りへ |
| 夜(ナイト) | 日の入り後〜夜明け前 | 暗い。明かりのある場所に餌が集まる | 常夜灯の明暗・流れの境目 |
| 深夜〜明け方前 | 人が少なくなる時間 | 場が休まる。潮が動けば時合になる | 潮の動き出しに合わせる |
この表で大事なのは、時間帯は「単独」では決まらないという点です。マズメでも潮が止まっていれば反応は鈍く、日中でも潮が大きく動けば釣れます。時間帯は「光の条件」、潮は「水の動きの条件」と考えて、2つが重なるタイミングを探すのが基本です。潮の読み方は潮の読み方|大潮小潮・上げ下げとタイドグラフ活用で詳しく解説しています。
マズメとは|正体は「薄明(はくめい)」の時間
「マズメ」は釣り人の言葉で、夜明け前後を朝マズメ、日暮れ前後を夕マズメと呼びます。辞書的な決まった時刻はありません。一方で、天文学には薄明(はくめい)という、太陽が地平線の下にあっても空が明るい時間の定義があります。マズメの中心は、この薄明だと考えると分かりやすくなります。
薄明は太陽の深さで3段階に分かれる
国立天文台の暦の解説によると、薄明は明るさではなく太陽が地平線の下に何度沈んでいるかで区分されます。
- 常用薄明(市民薄明):太陽の中心が地平線下6度まで。屋外の作業ができる明るさの目安
- 航海薄明:地平線下12度まで。海の上で水平線が見分けられる明るさの目安
- 天文薄明:地平線下18度まで。これより深いと空は完全に夜になる
釣り場の感覚に置き換えると、航海薄明が始まるころ(空の端がうっすら白むころ)から、日の出の少し後までが朝マズメの中心です。夕方はその逆で、日の入りの少し前から航海薄明が終わるころまでが夕マズメにあたります。
香川(高松)での時刻の目安
具体的な時刻を出してみます。下の表は、高松の位置で太陽の高さから計算した目安です。国立天文台が公表している近くの徳島の日の出入りと比べて、ずれは1〜2分ほどでした。
| 日付(2026年) | 航海薄明の始まり | 日の出 | 日の入り | 航海薄明の終わり |
|---|---|---|---|---|
| 3月20日ごろ(春分) | 5:15ごろ | 6:09ごろ | 18:14ごろ | 19:09ごろ |
| 6月21日ごろ(夏至) | 3:45ごろ | 4:51ごろ | 19:18ごろ | 20:24ごろ |
| 10月14日ごろ | 5:12ごろ | 6:06ごろ | 17:31ごろ | 18:26ごろ |
| 12月22日ごろ(冬至) | 6:06ごろ | 7:06ごろ | 16:57ごろ | 17:57ごろ |
表から分かることが2つあります。1つは、日の出から航海薄明の始まりまでが約55〜65分あること。朝マズメを「日の出の1時間前から」と考えるのは、この数字と合っています。もう1つは、夏至と冬至で日の出が2時間以上ずれることです。「朝5時に行く」と決めていると、夏はもう明るく、冬はまだ真っ暗という状態になります。釣行の時刻は、季節ごとに日の出から逆算して決めてください。
なお、常用薄明(地平線下6度まで)は、この地域では日の出前・日の入り後とも約25〜30分です。足元のライトがなくても歩けるのは、だいたいこの時間までと考えておくと安全です。
なぜマズメに釣れるのか|光の変化が「食物連鎖」を動かす
マズメに釣れやすい理由は、1つに決まっているわけではありません。研究で確かめられていることと、釣り人の経験から言われていることを分けて整理します。
理由1|プランクトンは夜に浮き、朝に沈む
海の小さな動物プランクトンには、昼は深い層にいて、夜になると表層へ上がる「日周鉛直移動(にっしゅうえんちょくいどう)」という動きがあります。東京海洋大学などの観測では、夜にプランクトンやハダカイワシの群れが浮き上がる様子が音響の記録に表れていました。移動のきっかけは主に光の変化と考えられています。
プランクトンが動けば、それを食べる小魚が動きます。小魚が動けば、それを食べるシーバスが動く。光の量が一番大きく変わるマズメは、この連鎖のスイッチが入る時間だと考えられます。
理由2|小魚の群れが「ほどける」時間
明るい日中、小魚は群れを固めて外敵を警戒します。暗くなると群れはゆるみ、散らばって餌を食べ始めます。朝はその逆で、散っていた小魚がまた群れに戻ろうとします。群れがまとまる前、ばらける途中の小魚は、捕食者にとって狙いやすい獲物です。これは釣りの世界でよく言われる説明で、シーバスについて直接確かめた研究は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。
理由3|ルアーが「本物っぽく」見える
もう1つは釣り人側の理由です。薄暗い時間は、ルアーの細かい作りや糸が見えにくくなります。日中なら見切られるルアーでも、マズメには餌と区別しにくくなる。これも経験則ですが、同じルアーでもマズメのほうが食いが深いと感じるアングラーは多いはずです。
朝マズメと夕マズメ、どちらがいいか
どちらが釣れるかは、一概には言えません。条件の違いで考えると、選びやすくなります。
- 朝マズメの強み:夜の間に人がいなくなり、場が休まっている。立ち位置も選びやすい。ただし明るくなると時合が急に終わる
- 夕マズメの強み:そのまま夜の釣りへつなげられる。暗くなるにつれて時合が続くことがある。ただし人が多く、明るいうちから場所取りが必要なことも
管理人の考え方としては、初めての場所は夕マズメをすすめます。明るいうちに足場や地形を確かめてから暗くなるのを待てるからです。慣れた場所なら、朝マズメの「休んだ場」を狙う価値があります。
ナイトゲーム|夜は「明かり」と「流れ」に魚が集まる
シーバス釣りといえばナイトゲーム、というイメージを持つ人も多いでしょう。ダイワの初心者向け解説でも、基本は夕方からのナイトゲームか朝マズメが有利と案内されています。夜に釣りやすい理由は、主に2つあります。
夜に釣りやすい理由|明かりが餌場を「固定」する
1つ目は常夜灯(港や橋の夜間照明)です。光に寄る性質を持つ生き物は多く、イカ・サンマ・タチウオ・イワシ類などの浮魚が光に集まる習性は、集魚灯を使う漁業にも利用されています(徳島県の研究報告)。明かりの下にプランクトンや小魚が集まり、シーバスは明かりの外の暗い側から、それを狙います。
つまり夜は、広い海の中で「餌がいる場所」が明かりによって絞り込まれるわけです。日中は群れを探して歩き回る必要がありますが、夜は明暗の境目という分かりやすい目印があります。初心者にナイトゲームがすすめられるのは、このためです。明暗の攻め方は常夜灯攻略|明暗の境目という一級ポイントで詳しく図解しています。
2つ目は人の気配が減ることです。日中は護岸を歩く人、船、作業の音が多く、魚は警戒しやすい状態です。夜は岸際まで魚が寄りやすく、足元の数メートルで食ってくることも珍しくありません。だからこそ、夜は岸に近づく前に、まず足元を1投目で探るのが基本です。
「シーバスは夜行性」と言い切れない理由
ここで1つ注意があります。シーバスは夜しか餌を食べない魚ではありません。三重県の資源評価では、伊勢湾の小型底びき網でマアナゴやクルマエビは夜の操業で多くとれるのに対し、スズキの多くは昼の操業でとれると書かれています。
これは漁の結果で、シーバスが昼に食べているという直接の証拠ではありません。ただ、少なくとも「夜にしかいない魚」ではないことは分かります。昼は底近くにいて網にかかりやすく、夜は浮いて餌を追う。そう考えると、昼と夜でいる層(レンジ)が変わる可能性があります。夜に表層で釣れる魚が、日中は底にいる。デイゲームでバイブレーションのような沈むルアーが強い理由も、ここにつながります。
月明かりは味方か敵か
満月の夜は海全体が明るくなり、常夜灯の明暗がぼやけます。徳島県のLED水中灯の試験でも、月夜に操業したため水中灯の効果が低かった可能性が指摘されていました。釣りでも、満月の夜は常夜灯に魚が集中しにくいと考えておくとよいでしょう。逆に、月のない暗い夜は明暗がくっきりして、常夜灯の釣りがしやすくなります。満月の夜は、明かりにこだわらず、流れや地形の変化を中心に探るのがおすすめです。
デイゲーム|日中は「影・濁り・流れ」に絞れば釣れる
日中しか釣りに行けない人も、あきらめる必要はありません。デイゲームは、魚の居場所を絞り込めれば十分に釣れる釣りです。ダイワの解説でも、日中は桟橋や堤防の影(シェード)を狙うことがすすめられています。
日中に狙うべき条件は、次の3つです。
- 影(シェード):橋の下、桟橋の下、係留船の陰。明るい中に暗い場所があると、昼の「明暗」ができます
- 濁り:雨のあとの濁りは、魚の警戒心をゆるめます。日中に釣れやすくなる代表的な条件です。ただし増水中の川に近づかないこと
- 流れ:潮が大きく動く時間、川の流れが当たる場所。魚は流れに乗ってくる餌を待ちやすくなります
日中は魚がルアーをよく見ています。速めに巻く、沈むルアーで底付近を通す、ルアーを見切られる前に通過させるのが基本の考え方です。河川での流れの読み方は河川のシーバス攻略|流れとストラクチャーの読み方を参考にしてください。
時間帯×潮×季節|「重なる日」を選ぶと釣果が変わる
ここまで、時間帯ごとの特徴を見てきました。実際の釣行計画では、時間帯に潮と季節を掛け合わせます。
マズメと潮の動き出しが重なる日を探す
もっとも期待できるのは、マズメと潮の動き出しが重なる時間です。ダイワの解説では、河口では満潮から下げに変わって1〜2時間後の「下げ3分」が好機とされています。夕マズメの時刻に下げ3分が来る日は、条件がそろった日と言えます。潮見表で満潮・干潮の時刻を確かめ、日の入りの時刻と並べてみてください。
逆に、マズメに潮がほとんど動かない日もあります。そんな日は、マズメを捨てて潮が動く夜の時間に照準を合わせるほうが効率的です。「マズメに行けば釣れる」ではなく、「マズメに潮が動けば、かなり期待できる」と考えるのが正確です。
季節で変わる「強い時間帯」
季節によっても、強い時間帯は入れ替わります。
- 春:バチ抜け(ゴカイ類が水面を泳ぐ現象)は、日没後の大潮の満潮前後に多いとされます。夕マズメから夜が中心
- 夏:日中の水温が高すぎる日は、朝マズメと夜が中心。熱中症の危険もあるので、日中に無理をしない
- 秋:魚がよく食べる季節で、マズメ・夜・日中のどれにもチャンスがある。雨のあとの濁りは日中の好機
- 冬:夜はとくに冷え込みます。水温が少し上がる日中や夕方が候補に入ります
季節ごとの居場所と餌はシーバスの年間シーズナルパターン総まとめで詳しく整理しています。時間帯の考え方と合わせて読むと、「いつ・どこへ」が決めやすくなります。
夜とマズメの安全|暗い時間の事故は足元から起きる
マズメも夜も、暗い中で動く時間です。釣果より先に、安全の準備をしてください。
第九管区海上保安本部(新潟・富山・石川)の2020〜2024年のまとめでは、釣り中の事故70人のうち55人(78%)が海中転落でした。海中転落で亡くなったり行方不明になったりした23人のうち、74%がライフジャケット非着用、87%が単独行動です。防波堤からの転落では、25人中14人が死亡・行方不明になっています。第四管区海上保安本部も、夜釣り中に防波堤から足を踏み外して転落した事故を紹介し、慣れない夜間の行動に注意するよう呼びかけています。
- ライフジャケットを必ず着る:落ちたときに浮いていられるかどうかが、生死を分けます
- ヘッドライトと予備の電池:明るいうちに場所に入り、暗くなる前に足場を確かめる
- できるだけ2人以上で:1人のときは家族に行き先と帰る時刻を伝える
- 立入禁止の場所に入らない:夜は柵や看板が見えにくいので、明るいうちに確認する
- ライトを海に向けない:他の釣り人の釣りを邪魔し、魚も散らします。照らすのは足元と手元だけ
最初に揃える安全装備はシーバス釣りの始め方|最初に揃える道具と予算でまとめています。釣り場の立ち入りや駐車のルールは変わることがあります。現地の最新情報を確認してから出かけてください。
やりがちな失敗3つ
失敗1|マズメの直前に釣り場へ着く
夕マズメは30分〜1時間ほどしか続かないことが多い時間です。到着してから準備をしていると、ラインを結んでいる間に終わってしまいます。マズメの30分前には、準備を終えて立ち位置に立つくらいの余裕を持ちましょう。
失敗2|明るくなっても同じ釣りを続ける
朝マズメで釣れた表層のルアーを、日が高くなってからも投げ続けるのはよくある失敗です。明るくなれば、魚は沈むか、影へ移ります。時間が変わったら、ルアーのレンジと狙う場所も変える。この切り替えができると、マズメの後も釣りが続きます。
失敗3|夜の釣り場を明るい時間に見ていない
初めての場所にいきなり夜から入ると、足場の段差、水深、根がかりしやすい場所が分かりません。危ないうえに、どこを狙えばいいかも見えません。初めての釣り場は、一度は明るい時間に下見をする。これだけで、夜の釣りの安全と釣果が大きく変わります。
シーバスの時間帯|よくある質問
Q1. 1時間しか時間がないなら、いつ行くべきですか?
夕マズメから日没後の1時間がおすすめです。明るいうちに足場を確かめられ、暗くなっていく時合を通しで狙えます。さらに、その時間に潮が動いている日を選べれば理想的です。
Q2. 深夜は釣れないのですか?
深夜でも釣れます。とくに潮が動き出すタイミングは、時間に関係なく時合になりやすいです。人が減って場が休まるので、常夜灯の周りに魚が戻ってくることもあります。ただし、眠気と疲れで注意力が落ちる時間です。無理をせず、安全を最優先にしてください。
Q3. 雨の日の時間帯はどう考えればいいですか?
雨や曇りの日は、日中でも薄暗く、マズメに近い状態が長く続きます。日中でも釣れやすくなる条件の1つです。一方、大雨や増水のときは川や河口に近づかないでください。雨のあとの釣りは、水位が落ち着き始めてからが基本です。
Q4. 夜はルアーの色をどう選べばいいですか?
ダイワの解説では、日光や月明かり、水の濁り具合に合わせてシルバー系・ゴールド系・パール系から選ぶとされています。夜の常夜灯まわりでは、光を受けて目立つシルバーやパール系、暗い場所ではシルエットがはっきり出る色、という使い分けが基本です。
Q5. 日の出・日の入りの時刻はどこで調べればいいですか?
国立天文台の「暦計算室」で、地点を指定して日の出・日の入りと薄明の時刻を調べられます。潮見表と並べて、マズメと潮の動き出しが重なる日を探してみてください。
Q6. 朝マズメと夕マズメで、狙う場所は変えるべきですか?
基本の考え方は同じですが、明るさの変化の向きが逆です。朝は暗い時間に岸寄りにいた魚が、明るくなるにつれて沖や深い場所、影へ移っていきます。夕方はその逆で、暗くなるほど岸寄り・表層へ寄ってきます。朝は「岸際から沖へ」、夕方は「沖から岸際へ」と、探る順番を変えるとよいでしょう。
まとめ|時間帯で覚えておく3か条
- まず狙うのはマズメ、次が夜:マズメの中心は薄明の時間。日の出・日の入りの約1時間前後を、季節ごとに日の出から逆算する
- 時間帯は潮と重ねて選ぶ:マズメでも潮が止まっていれば鈍い。マズメと潮の動き出しが重なる日が、もっとも期待できる
- 時間が変われば、レンジと場所を変える:夜は明暗と表層、日中は影・濁り・流れと深め。「シーバスは夜だけ」と決めつけない
空が白み始める数分間、水面が急にざわつき出す瞬間は、何度経験しても胸が高鳴ります。次の釣行は、日の出か日の入りの時刻を調べて、潮見表と並べるところから始めてみてください。「この時間に来る」と読んで当たったときの1尾は、きっと忘れられない魚になるはずです。
香川・瀬戸内で釣り場を探している方は、香川・瀬戸内のシーバスポイント10選もあわせてどうぞ。

